棒/スティック/竜門勇気
窓に棒が挟まっている。
黄色いノブがついたドアの内鍵の鍵穴に棒が詰まっている。
猫が毛足の長いカーペットに吐瀉物をぶちまけ、「わたし」が観察すると無数の棒が見られた。
跳ね橋の建設に従事する建設会社Aでは棒が祀られている。
水を飲もうと蛇口を「俺」がひねる。無論金属が超低温化で砕けるような音を立てて棒が溢れ出る。
となりの奥さんが「我が家」の物音に驚き、スーツ姿の青年に三言ほど話しかけたあと、棒になった。
冬は棒に過ぎない。秋とは棒における過渡期である。
春は夏は。
子供たちは棒の先端においてのみ子供であるという、偽装された自己同一性を獲得するが、第
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