笑うカスタネット/m.qyi
 
いないこともなかったのですが、
いま読み返せばそれらは詩作品と呼べるような代物では到底ありません。」(「独白・書
くこと、と、読むこと」)前掲のポートレイといい、石原さん自身の言葉を聞けば僕の少々
失礼な石原さんの紹介も当たらずしも遠からずではなかろうかと思う。



II



石原さんの短歌を見て、確かにほのぼのとしたところはある、確かにユーモアと溶けあ
っている。しかし、先ほどの「病にロック」の歌などが好例かと思うが、どこかにわざと
らしさがある。読者には決して毒気のない、意地悪さがある。読者には大変優しい、冷酷
さがある。そこで、石原さんのユーモアはなにか
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