笑うカスタネット/m.qyi
、社会とは個人を軸にしてこの人間性の解放と、
人間性の剥奪が複雑に入り混じって自分達に影響してくる環境だ。ここには、二つの困難
が待ち構えているような気がする。一つは、自分たちが既にその環境にいると言う事だ。
僕たちは社会の外に出られるわけではない。もし、社会が泥水であるとしたら、そこに住
む魚は泥水が濁っているということがどうして分かる事ができるだろうか。そこに、つま
り、作品そのものの中にではなくその作品と鑑賞者の間の構造的な関係に作品の価値を生
みだそうという芸術手法を駆使する理由も出てくる。第二に、僕たちが個人を軸として物
事を見ざるを得ないとしたら、一方を是とし、他方を非と
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