笑うカスタネット/m.qyi
面をテーマにしていく詩は多いと思う。石原さんがそ
の意味で特別であったわけではない。こういう傾向はやはり僕たちの時代の在り方で、そ
れなりに必然性があるような気がする。一種の魅力を感じられるのも現代人特有の何か共
通の意識が働いているからだろう。そうだとしたら、石原さんのこの自分を見ようとする
姿勢が多くの読者のシンパシーを喚起しているのかもしれない。
石原さんの「自分」というと、他人や、僕とは違う何かになってしまうが、その自分が
「個人」であると言い換えることができれば、距離は一気に縮まってくる。僕らの一つの
コモンセンスとして自己を個人と考える考え方は強くあるからだ。僕らは、
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