うたたね/mugi
掬い、みずからの浴衣にそっと這わせた、金魚は袖から胸
へと、胸から腰元へと、あたらしい棲家をたしかめるよう
に泳いだあとで、もともとそこに描かれていたように、し
ずかになった、
、、
( 遺体がはこばれていくのを、
みたのよって、)
、、
水を抱き
ときに水が
愛を
ささやきあうのなら
あなたのいた夏も
いなかったそれも
たくさんの季節の
おとずれた街で
あいかわらず
ことばは順列を
なして
海沿いの観覧車へと
つづいている
耳が、
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