闇の向こう/ホロウ・シカエルボク
 




死んだプラネタリウムのそばの
かろうじて灯る街灯の下で
指と指をからませあった
身を切るような12月だった


旅自宅の途中で
こっそりと抜け出してきた
きみは
早く帰らなければいけないと
そればかりを気にして
たぶんこれきりなのに
ひとつも
上手く話せず


夜間飛行の赤いライト
見上げているうちに
なにもかもが終わった
なにもかもが


「縁があったらまたどこかで」と
涙をためながらきみは笑うけど
スーツ・ケースに衣類を詰めるみたいには
思いは
整頓出来ないんだ


ひとりになっ
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