闇の向こう/ホロウ・シカエルボク
なった街角で
ぼくはふるえ
温まらない身体を抱いて
だけど
少なくとも温まれる
小さな部屋へ帰る気もなく
振りむきざまにきみの残像が
巻き戻されてここに来ればいい
歩みを止めることだけで
繋ぎとめたいと願う夜には
振りむきざまに君の残像が
巻き戻されてここに来ればいい
カティサークの空瓶に乗って
通りの向こうの闇を覗いた
どんなに見つめても何も見えないから
ほんとは闇は素敵な
コンテンツなのかもしれないよ
雪でも降ればこのままここで樹氷にもなれるけど
死に至る凍えは甘えだと言わんばかりに
12月はぼくを
ギリギリの温度で突き放す
さあ、早くお帰りと
早く帰って紅茶でもお飲みよと
あのひとはもう居なくなるんだよ
きみの前どころか、もうこの街から
きれいさっぱり居なくなってしまうんだよと
ぼくは闇の向こうを眺めた
あんなに夢見た君は
昨日の中にとけこんで
もう
なにも見えない
もう
なにも見えない
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