紅葉狩りーライフル発砲少年ー/天野茂典
れないなにかが、あることも分かっていた。がその正体はまだ自分でも解けていなかった。なんだか自分も紅葉に染まってしまいそうだった。男の生首も、女の裸も、単なる装飾品のように思われた。ここに100万匹の蛇を這わせてもよい。洞窟があった。濡れていた。途中で曲がっていた。暗かった。はじめに紅葉するのはナナカマドだときくが、ここはもう最盛期だった。
もみじがないからカナダやアメリカの紅葉はこううつくしくはならないという。四季を持つ日本の秋のポップ・アートだ。ライフル発砲少年は色情狂ではないらしい。ただ眺めているだけだった。裸の女たちは河原の隅で寒そうに固まっている。まるで戦場のように血を流した男たちの首狩
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