時間の流れを動力とした遠心分離装置の性能とその顛末/Six
 
じように
 Bさんもこの回転に次第に慣れ
 しかもいつしか
 装置の回転のおかげで
 自分の位置が移動し
 今までとは全く違った景色が
 目の前に現れてくるのを
 楽しみに思うようになっていた

 Bさんがどうしても触れることのできなかった
 Aさんの頬の感触
 それは次第に
 Bさんの夢の中でも
 かなり古い方に分類されるようになり
 Bさんはふと後ろを振り返る
 空気やら
 時間やら
 霞みのかかったその先に
 AさんがBさんに背中を向けているのが
 ぼんやりと見える


 時間は常に一定の速度で流れ

   常に一定
     常に一定
 
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