時間の流れを動力とした遠心分離装置の性能とその顛末/Six
常に一定
駆け足競争をしたわけではないのに
AさんとBさんの位置は
装置は回転を続ける
Bさんの古い夢がAさんの頬の感触ならば
Aさんの新しい夢はこうだ
夢の中でAさんは着ているものを脱ぐ
全て脱ぎ終えて裸になってから
Aさんは自分の手に握り込んだ
消しゴムの判子を見つめている
そしてまだ赤いインキがぺったりと残った
消しゴムの判子を自分の裸の体に
「愛しています」「愛しています」「愛しています」「愛しています」
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