時間の流れを動力とした遠心分離装置の性能とその顛末/Six
 
 これは一体何なのだろう

 そして理由は分からぬが
 AさんはBさんの姿が
 あんなに遠くに見えるのも
 仕方のないことだと考えた
 何とも訳の分からないことだらけではあるが
 全ての謎を解決するのは
 赤い文字の押された紙片ではもちろんなく
 この文字を生み出した消しゴムの判子ではなかろうか
 Bさんの手でていねいに彫られた

 「愛しています」

 の6つ文字の字の並び


 ところで
 Bさんはこの間に
 強烈な吐き気をこらえるのに必死で
 判子を押すのをすっかり忘れていたのだ
 しかしやがて
 新米の船乗りがようように船酔いを克服するのと同じよ
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