時間の流れを動力とした遠心分離装置の性能とその顛末/Six
 
んの姿を認め
 眩暈のためにこみあげてくる
 嘔吐感をこらえる


 時間は常に一定の速度で流れ装置は回転を続ける


 Aさんは足をよろめかせながら
 足元をさらさらと流れる紙片を
 ひとつ手にとる
 実際、床の上には
 夥しい数の紙片が散らばっており
 それが装置の回転に合わせて
 静かに移動している
 しかしながら
 最初の時のように
 紙片が舞い上がることはもう無く
 枯葉のように
 ただ床に積もっているだけである

 「愛しています」「愛しています」「愛しています」「愛しています」

 赤い文字は
 鮮明なものもあれば
 激しくぶれたもの
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