時間の流れを動力とした遠心分離装置の性能とその顛末/Six
 
しかし極度に昂ぶった気分のままに
 (この昂ぶりも装置の回転の作用による)
 柔らかい消しゴムを丁寧に彫って
 それに赤いインキをつけ
 紙にひとつ押すと
 Aさんに黙って手渡した

 その紙には
 べったりと赤い文字が少しぶれて

 「愛しています」

 と判読されたので
 Aさんは首を傾げた

 Bさんはもう1枚

 「愛しています」

 と押してAさんに手渡す

 Aさんがなおも黙ったまま
 少し妙な顔をしていたので
 Bさんは次から次に紙に判子を押し付けて

 「愛しています」「愛しています」「愛しています」「愛しています」

 とAさ
[次のページ]
戻る   Point(1)