ブラウン・シュガー・シンドローム/茶殻
 
樽のように)
露なその肩口には
掌で隠れるくらいの何か爬虫類の入れ墨を這わせ
僕の同じ場所でオーストラリアみたいな痣が広がる
くたびれるほどに俗界を往復すると
眠らないあなたは眠るようにそっと睫毛を下ろす
僕は少しためらって
欲情の二歩手前でファスナーを上げる
やんないの? たたねんだもん
プラトニック なんて俗界じゃ流行りえないのだ
濡れないの、という誠実な告白ならば
或いは 初めてなの、という生真面目な嘘なら
その切なさも画になろうものだけれど
(近頃はそんな小説ばかり読んでいる)

   
   閉店間際の赤羽駅構内の牛丼屋に傘はなく
   天国への宿場町が
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