ブラウン・シュガー・シンドローム/茶殻
 
まして毛穴のひとつひとつを愛したわけではないが
   実際のところ世の中に「どうだっていい」ことは何一つないのだと学ぶことは
   損ではなかったと思うようにはしている
   (さらに酷いことを考えたこともあるがここでは書かないことにしておく)
   俺はそれ以来雑誌のグラビアを眺めながら
   その娘の口臭をイメージする悪趣味な男になった


はしゃぐことを大いなる是とする都市で僕たちは出会う
万華鏡さながらの極彩色のコーティングはところどころ剥げ
鈍色を晒していることも気に留めずに
あなたは坂を下る柑橘のように細やかにステップを踏み鳴らす
(或いは嵐の船に散らばる酒樽の
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