ブラウン・シュガー・シンドローム/茶殻
 
も空席がなく
   かつて おまえ と呼び合っていた女が
   中吊り広告の隅で『今年っぽい』らしいコーディネートを纏い
   歯を見せて笑う姿にさめざめと鳥肌
   右肩下がりの外食産業のギリギリの好意さえ嘲笑うように
    おまえ はドリンクバーに憑依して
   アイスティーに大量のガムシロップを注ぎ
   その おまえ を見る目が慈しみではなく憐れみであると露顕してから
   凡そ天使のような生物のはずだった おまえ の肌はウエハースに変わり果て
   横並びに公道を歩くことも億劫になり 俺はそのモザイクを内へ内へと折り込んだ
   もちろん おまえ の肌や化粧品やまし
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