五十日目の日記/縞田みやぎ
と思う。ひともまちも変わってしまった。みんな泣き笑いと空元気でがんばってがんばってがんばってしょうがないしょうがないしょうがないと言いながら毎日を過ごしている。自分で動かねば生きていかれないから。酷い空気と酷い臭い,酷い風景,酷い思い出からの逃げ場はどこにもない。たくさんの水や寄せる波,引き潮で底が見えている水辺を見るのが怖い。積んである材木や,リサイクル用にブロックになっている古紙,製紙のロールも怖い。それらの水に浮く大きな物が人家や車に刺さったり,押し潰したりしているのをたくさん見たからだと思う。でもテレビに被災地が映ると,釘付けになる。知り合いが映らないか見知った場所が映らないかとじっくり見
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