五十日目の日記/縞田みやぎ
い地区から少しずつ少しずつ店が開き始めた。何時間も並んでやっと食べ物や生活必需品を買った。ガソリンに8時間並んだ。店の側の人間ももれなく被災者だった。瓦礫は少しずつ片付けられて主要道路は通れるようになった。生活道路はうずたかく積み上げられた瓦礫,震災ごみが,余震のたびに崩れる。水は結局2週間くらいかかったので,それまでは毎日自転車で水をもらいに行った。洗えない代わりに消毒薬を何回もすりこんだ手足は荒れてぼろぼろと皮がむけた。水が出ても一週間くらいは,緑色に濁って砂が沈み,河のにおいと消毒薬のにおいでとても飲めなかったが,トイレが流せることと石鹸が使えること,酷いにおいのしていた衣服と体を洗えること
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