五十日目の日記/縞田みやぎ
 
ジオと猫を抱いて布団にもぐりこんだ。とても喉が渇いて,とてもお腹がすいていた。
 明日はうちの布団を担いで職場に行こう。
 余震とサイレンは一日中,やむことがなかった。

 次の日からは,避難所運営と,子供らの安否確認に走り回る日々だった。携帯はずっと圏外だった。布団を担いで職場にまた歩いて行ったら腕がもげそうだった。ヘドロと瓦礫でまだ車が入り込めないまちに徒歩や自転車で強引に入り込んで,生きている人を探した。100個単位でおにぎりを握って手のひらを火傷した。何回か,河をさかのぼる小さな津波を見た。浸水した家の中で2日間起きられなくて今さっき自衛隊に救助されたというおばあちゃんが靴下だけで
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