五十日目の日記/縞田みやぎ
 
分はおにぎりを一個だけもらった。いる間にも避難者がどんどん増えて,布団が足りないとのことだった。前日の昼食会で自分が飲み残した紅茶のペットボトルを持って帰った。帰る頃には水の中の人々はいなくなっていた。土手にはまだあてどなく人々が歩き回っていた。避難所になっている学校もまた,1階部分はすっかり水没していた。女川原発から歩いてきた人に会い,原発は大丈夫ですと言われた。余震でまた新しく壁が崩れていた。また水をこいで家に帰り,玄関で全裸になって新聞紙でがしがしと体を拭き,アルコールでがしがしと拭いた。着替えはまだ数日もちそうだ。持って帰った紅茶に砂糖をがんがん足し,少しずつなめた。明るいうちに家の中を少
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