五十日目の日記/縞田みやぎ
漁船が三艘ほどひっくり返って折り重なっている。この瓦礫の山は何だ。木材の合間にちらちらとプラスチック製品の鮮やかな色が浮かび上がって見える。これはつまり津波の跡なのか。
水面にもたくさんのゴミが浮かんでいるのが見えた。木っ端や松っ葉のような細かいゴミが集まってうねりながら,川下へ向かってゆったりと流れていく。ああそのまま流れていけばいい,とぼんやりと思う。自分の足音が聞こえる。
と。ゴミの流れる速度が遅くなり,やがて止まる。なんだろう。ゴミだまりの一番下流側のあたりが,ぐうっと上に押し上げられる。水位がみるみる上がっていく。橋を振り返る。さっきまで橋のずっと下にあった水が,橋の下にかかりそ
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