五十日目の日記/縞田みやぎ
Dと本の山が崩れてドアをふさぎ,居間に入れない。猫たちが不安に鳴く声が聞こえた。15センチほどのドアの隙間からぐりぐりと体を押し込み,スピーカーの上によじ登り,何とか居間に入る。落ちるものは全て落ちて,床が見えない。液晶テレビが落ちて配線でぶら下がっている。まあ,しょうがない。
「ただいまあ。ただいまあ。にゃんたちただいまあ。」いつもの帰宅のあいさつをする。ほどなく,脅えながら,よるかとねむが出てくる。どこかで鈴の音がするので,きりも無事のようだ。よかった。手回し充電のラジオを掘り出す。くるくると充電し,ラジオをつける。車で聞いていたのとあまり内容がかわらない。喉が渇く。水は出ない。
疲れ
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