五十日目の日記/縞田みやぎ
 
ださい。」避難したいのはやまやまだちくしょう。というかまだ終わっていないのか。まだ来るのか。仙台ではなくここの被害はどうなんだ。
 何度も大きな余震があった。車がぼんぼんと跳ね上がる。意味がわからない。すばやくギアをパーキングに入れ,ハンドルにすがって耐える。おさまるのを待ってまた車を進める。繰り返す。帰らなくては。とにかく帰らなくては。
 普段は10分で走る道を1時間かかり,4時半ごろ,自宅に続く道の近くまでたどり着く。ここから自宅方面へは混雑が少ない。鉄道をまたぐ陸橋にかかった時に,初めて相方に電話がつながる。「無事?」「無事!」「電車がだめになったらしい。こちらは職場が非常電源使えるから
[次のページ]
戻る   Point(29)