五十日目の日記/縞田みやぎ
 
番危険な地域にいるのは,沿岸部に住んでいる自分だ。自分が大丈夫なのだから,きっと家族はみんな大丈夫だ。母が仕事で外回りをしていたら,妹が大学に行っていたら,と思うが,不安になると手が止まるので「きっと大丈夫だ。」と声に出して言う。
 余震の頻度がやや減ったようなので,2階にあるデスクへ。室内はそりゃもう酷いことになっているが,もう今はどうでもいい。自分のデスク周りを見て貴重品を忘れていないことを確認。昨年まで情報機器の管理を任されていたのでPC室もちらっと覗くが,PCが机から落ち盗難防止ケーブルでぶら下がっている。サーバが緊急電源に切り替わり警報が鳴り続けている。どうせこれは復旧まで時間がかかる
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