五十日目の日記/縞田みやぎ
かるので,データ保存を優先しサーバの電源を落とす。給湯室の冷蔵庫から水が漏れていた。近くにあった雑巾を敷き詰め,とりあえず水が流れないようにだけする。
身支度をして周囲を見回すと,泊まることが決定した幹部のみが歩き回っている。対策本部を設置するらしい。このあたりでようやく,家に猫たちがいることに思い至る。薄情かもしれないが,この時まで全然思い出さなかった。きっと脅えているし,もし必要があればまた職場に戻るためにご飯を上げて来ねばならない。家に帰れば家族の電話番号も何かのメモや古い携帯のメモリからわかるかもしれない。帰らねば。
職場を出たのは3時半頃だったか。もう外は吹雪となっていた。全ての
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