2277-01/雨伽シオン
 
どうすればいい。臍の緒を断て。臍の緒を断て。
私は少女の首から指を外して、ぐにゃぐにゃとした臍の緒に手を伸ばした。そこは少女の鼓動に合わせて脈動している。私がねじ切ろうとするより早く、ペーパーナイフの切っ先がそれに噛みついた。臍の緒はあっけなく切れ、養分と酸素が配合された粘液を吐き出した。これは僕のものだ。きみはそう云うや否や、桃色のゼリーを手ずから掴むと咀嚼しはじめた。透きとおった桃色の子宮はきみにちぎられてぼろぼろと欠けてゆく。少女の姿はなかった。代わりに血だまりのような赤がゼリーの中に浮かんでいた。イチゴ味だよ。きみは唇を濡らしてうれしそうに微笑んだ。美しい弧を描く口の周りにこびりついた
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