2277-01/雨伽シオン
 
いた、べとつく赤い液体のむせ返るような甘い香りに、私は吐き気を覚えた。
きみが犯されていく。少女によってきみが犯されていく。頭蓋に満ちていた女たちの声は嘲笑に変わっていた。私はきみが投げ捨てたペーパーナイフを手に取ると、自らの喉笛に突き立てた。断末魔にジャックされた私の口から吐瀉物がぼとぼととこぼれ落ち、女たちの笑声は最高潮に達して、目が眩むような恍惚感をもたらす。白く染め上げられた世界の終末で、きみはこの上もなくしあわせそうに微笑んでいた。

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