あかるいみらい/木屋 亞万
 
るものの多くは
当たり前のように眠っている

なつかしい夏の日の
あの人気のない早朝の街を歩いて
学校までラジオ体操に行ったことを
今でもたまに思い出す
生まれたての朝の光はまだ
遠慮がちに空の端を明らめて
空の水色はいつも以上に薄いままだった

口笛を吹いても
夜のように不気味な響き方はしない
まだ硬さが残る空気は
空とつながりきれずに
静かに震えているだけだ
犬がどこかで吠えながら
鶏の気配を探している
新聞配達は仕事を終えて
そっと帰路についている

未来はきっと明るい
そう信じている
今を包む暗闇が暗ければ暗いほどに
朝は明るく感じられる

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