あかるいみらい/木屋 亞万
 
未来はきっと明るいと信じている
明日がどこから来るとしても
太陽はきっと東から
音もなく昇ってくる
まだ眠っている人を起こさないように
少しずつその光を強めて
朝を告げる

過去はとても良いにおいがする
過ぎ去ったものたちを悼む線香の煙が
立ち込める畳に寝転び
蘇る記憶の中でこの身体は
まだ成長の最中にあって
世界は今の倍くらいは大きかった

薄暗い夜からぼんやり眺めた
明日はいつだって明るくて
朝は
どれだけ曇っていても
雨に濡れていても
変わらぬ光を世界に届ける

夜は朝を明るくするために
夜明け前を容赦なく闇に埋める
闇が怖くて目を閉じているも
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