ひとり生きてゆく(ということ/アラガイs
苦しいものではなかったと
奇妙な確信が木魚を叩きながら唾のなかを支配している 。
点滅する手術室の脇では全身水色の姿をした四人の男と女が、ランプを取り囲み(ひそひそ)話しをしている。
手術台の上には、なにやら大きな獣のぬいぐるみが眠っていた
突き出した胸の毛は剃られ赤いペンマークが印されている
そのうちひとりが大きな欠伸をしたまま気だるそうに足を揺すぶり
あとの三人はくすくすと笑いながら
時々ぬいぐるみの産毛をむしり取っていた 。
たまに足音が響く薄暗い廊下には(チクタクと時間だけが過ぎてゆく
壁に掛かる柱時計の針が歪んで見えるのを、気にもせずに。。
迷い込
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)