そんなことどうだっていい/ホロウ・シカエルボク
 
呼ぶ、それだけでここに立つ理由になるから
約束は今日、義務の様に試されなければならなかった
おれはモデルハウスの様な存在理由で
ただここに立っているだけだ
ハモニカが止んで叫び声がした
それから
おれの傘に何か固いものが当たり、カラカラと地面に転がった
それは多分さっきまでうたっていたハモニカだった
それから男が降ってきた
雨とはずいぶんと違うやりかたで
(途中で排水パイプにぶつかって角度を変えた)
おれはハモニカを拾い上げ雨で洗った
そして軽く吹いてみた
地面に落ちた男は僅かにすら動くことはなかった
頭から流れる血液は
雨の夜でもはっきりとそう判るものだ
おれはハ
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