そんなことどうだっていい/ホロウ・シカエルボク
 

それがもう二度と果たされないものだとは
ずいぶん昔にしっかりと理解していたけれど
それでも傘をさして街角に立っていた
こんな雨の日にはそれしかやることがなかった
別に非常階段のハモニカを聞いていたいわけじゃなかった
ブルースは
それを歌い続けようとするやつのためだけにそこにあるものさ
昨日まで渇いていた街は一日中
しみったれた雨に濡れて
クラシックなデザインの街灯たちはみんな
涙をこらえているみたいに見える
果たすも果たせぬもない約束のためにここにいるのは
そうしたことで自分が満足したいせいなのだ
そういうのってもう本当は約束とも呼べない
だけどおれはそれを約束と呼ぶ
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