radiating pain/木屋 亞万
ボールを受けるときは胸の前でと
習っていたのがこんなところで
しゃしゃり出たのか、弾丸は
胸のど真ん中へぶっ刺さる
貫通した方がケガの治りは早いのだろうが
今はこの身体の中で全ての敵意を受け止めなければ
動く壁と呼ばれる様なプロではないが、君のため
動く板くらいにはなれたら良いと思う
肋骨の隙間を縫って
明らかに弾は心を破壊している
体内を放射状に痛みが拡がり
身体が核心から破裂していく
弁慶のように勇ましく仁王立ちとは行かないが
呻きながら足を震わせながら失禁しながら
背中の向こうで震えている君を感じて
歯を食いしばる
わき腹と肩と太股にさらに被弾
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)