radiating pain/木屋 亞万
被弾し
もう今は拳銃のサンドバックと化している身体
最初に喰らった一発の痛みに比べれば痛くない
いやしかし痛い
口から血を吐き出す
体内が血液で満ちている
元々血のないところにまで
血がたぷたぷと巡っているのだ
弓矢と銃弾ならどちらが痛かったろう
痛み比べなど御免だが
もはや立っているのも楽ではない
背中で震えて泣いている君もさぞかし辛かろう
長い目で見て一番つらい状況にあるのは君だ
心臓から送りだせなくなった血液の代わりに
血管は痛みを全身に循環させていく
手足が痺れて視界は白黒にチリチリと燃える
唾液と混じりとろりとした血液が口から垂れる
最後に額の真ん中に銃弾を受けて
頭脳はぐちゅぐちゅと潰れて
そっと悟るように命を落とした
世界よ平和であれ
もう誰一人
恐怖で震えさせてはならない
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