冷たい溶岩流/ホロウ・シカエルボク
 
に残る
隙間風に揺れるカーテン
怖気ながら拒んでいるようなカーテン
あいつには確かに見えているのだ
毒を吐き散らかすなにがしかの影が
葉の裏に張り付いた
油虫の様に
断片的な感情が
無軌道に喘いでいる
ササササと
薄紙が擦れるような音が
それらのすべての関係を
ないものと結論付ける
粘ついた血を吐くように
春の始まりにはりついて
断片を握り潰し
得た塊は
発音出来ない声に似ていた
センテンスに罪があるなら
それは存在ということだ
脳を抜かれた吾身がこちらを見ている
センテンスに罪があるなら
それは存在ということだ
肉片を寄せ集めるように
新しいなにか
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