2006-2007 刺青、あるいは痕跡/はるな
ぎたことを無かったことに似せることが得意になった。ざわざわしていて、わたしは何もかわいそうじゃなかった。わたしが悪くて、他の何も悪くなかった。すべては内側で起こっていて、わたしは世界に参加していなかった。どこかへ行くことは可能だった。どこにも行きたくなかったのに。不満しかゆわなかった。誰も悪くなくて、誰かのせいにしたくてたまらなかった。変わるのはとてもこわい。変わらないのもとてもこわい。全てがおそろしいと思った。こわくてたまらないと思う。わたしのなかの小さな全てを克服したときに次があるのだとしたら。と、超えてもいないのに仮定を持ち出してしまう。現実を見ていられないのだ。目玉がないように振舞っている
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