もっと どうでもいい話/佐々宝砂
変貌することがあるのは確かだ。
場所がかわっただけで「どうでもいい」が「どうでもよくない」に変貌することもある。日本では「どうでもいい」過去の遺物になってしまった、上総掘りという、竹と人力のみで井戸を掘る技術があって、これをアフリカに伝授しようという試みがある。これには、竹のないアフリカになんでわざわざそんな古い技術を伝授するのじゃ、アフリカをバカにしとるんちゃうかという反対意見もあり、それもわからないではないけど、一応の成功を見た試みではある。少なくとも、なんにもしないよりはいい。過去の遺物で「どうでもいい」上総掘りだって、場所によっちゃ「どうでもよくない」役立つものになりうるのだ。
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