メスライオンのやわらかな首毛/ホロウ・シカエルボク
女は
おれのことを忘れることがないだろう
そこにあるものが愛でなくたってかまわない
どのみち彼女はおれを
精一杯受け止めてくれたのだ
おれは砂漠に思いを馳せながら後始末をした
漏らすための水と
こぼさないための水のすれちがい
ああ
生命はこうしてすれちがってゆく
たかぶりも
ぬくもりも
すべてその時だけのよろこび
知れば知るほど
孤独の中に落ちてゆく
あればあるほど愛は欲しくなってしまう
燃えのこるガソリンの鼻をつく臭い
すべて燃えてしまうのに足りなかったものはなに
ひとりになったら咆哮してはいけない
ひとりになったら咆哮
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