メスライオンのやわらかな首毛/ホロウ・シカエルボク
 
咆哮してはいけないぜ
夜の暗闇に消えてゆくおのれの声の反響を
なにもかもなにもかも耳にしてしまうから
おれを砂漠に引きずって行ってくれ
おれを砂漠に引きずって行ってくれよ
こんど産まれてくるときは
熱と光と埃のなかで土にまみれたいんだ
行ってしまったものほどいとおしいと感じる、どうしてなんだ
からだの中までおれたちは深く知り合ったのに!
太陽がどこかへ消えてしまった
太陽はどこかで燃え尽きてしまった
おれは神の火を握りつぶしたのではなく
それに潜り込まれただけだったのだ
おれはふざけた野性のダンスを踊らされただけだったのか
寝床に横たわると骨になったような気がした、オーン
おれは一度だけ鳴声を上げた、そうすれば





あの砂漠に
駆けていけるような気がした

それだけだ





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