眠れない夜、止まない雨、励まさない詩/木屋 亞万
 
雨がないことくらい知っているが
雨が止むまでここで
じっとしているわけにはいかない

明けない夜がないこともわかっているが
眠れぬ夜を過ごしても朝が来たら
人間たちは大々的に活動を始めるではないか

「明けない夜と戦ったのだから、明けたばかりの朝くらい、ゆっくり眠っていると良い」
誰がそう言うだろう
だから僕が言う
今日は僕が言う

眠れぬ夜には
控えめに電気を灯し
言葉を除いた楽器演奏に耳を浸し
純度の高い音の結晶を心にまぶす

静かな夜に
時間に急かされず
耳を傾ける音楽は
心地よい跳ね方をするのだ

止まない雨には
ズボンの裾を折りたたみ

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