眠れない夜、止まない雨、励まさない詩/木屋 亞万
靴のゴム底を器用に使って
なるべく濡れないように歩いてゆく
傘のドームに包まれながら
雨が弾ける音を間近で聞くのは
案外悪くないものだ
安全圏で見る雨は
世界の密かな大合唱
止まない雨も
明けない夜も
付き合い方次第では
悪くないものだから
住めば都の心で持って
澄んだ心で生きていきたい
明けたての夜はとても美しくすがすがしいし
止みたての雨はとても眩しくきらきらしている
だから
今すぐ眠れとは
言わないけれど
おやすみなさい
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