クロックワーク ポエトリィ/ ****Until dying in’ 05/小野 一縷
グレコじゃないグレッヂのギターが欲しかった
こんなシガナイ時計職人になんて なりたくなかった
時計なんて嫌いだし
時間なんてのも嫌いだ
ぼくを醜く老いさせる この日々が憎らしい
「エセ伯爵 教えて下さい ぼくはどうすればいいのですか?」
ぼくは手段を選ばない
だけどぼくは時計職人の息子じゃない
雇われの ただの器用貧乏人
さっきから 吐き気が止まらない
「エセ伯爵 ぼくはどうすれば?」
「時計はなくとも 時間は回る」
鳴り止まないロックンロール
水っぽい汗が体温を たらたらと奪う
ゆっくり降りてくればいい 怖がらなくていい
時計の中心に降り立つよう
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