戻り涙/木屋 亞万
ばる姿が
涙をさらに押し込めて
内と外との温度差で
結露ができて体内の壁には
幾筋もの水滴が垂れる
そのようなときどうすれば良いのか
誰も教えてくれなくて
自分で考えてもわからなくて
言葉にしようとしても
どれも悲しみに濡れていて
自分には何もつらいことなんてないはずなのに
自分の中にはつらい悲しみが溢れている
お尻の辺りでカチカチに
固まり始めた悲しみを
鍋でじっくり煮込んで
スープにして
飲んでしまえたら
悲しみは管を通って
消化されていくかもしれない
コトコトと言葉の炎で
かなしみを煮込んで食べてしまおうよ
そうすれば明日の朝にはきっ
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