千秋楽/かいぶつ
知ちゃんではなく
私にはもっと他に私を振り向かせるための名前があるし
ストリッパーとして活動するとき用の
気合いの入った名前まで持っている
これまでに使い捨ててきた名前を数えれば切りがないので
今更、何と呼ばれても平気なだけだ。
「ねぇ、じいさん。」
「?」
「私、真知ちゃんじゃないよ。」
「へへっ。」
「真知ちゃんて、だれなの?」
「なはっ。」
「笑ってないで教えてよ。」
「真知ちゃんは真知ちゃんなんですぅ。」
そうやっていつもタワシのように笑うじいさんだった。
理由は経営難だった。
私が毎週、舞台に立つストリップクラブ
「Tonight Ton
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