千秋楽/かいぶつ
独の一形態だったのかも知れない。
私は絢爛な夜の桜に惹かれて学校の裏門を跳び越えていった。
たまたま近くを通った女教師に見られて
警察を呼ぶとかどうとかという話になっている所に
夜間警備員の小柄なじいさんが現われ、私に
「あぁ、真知ちゃん。いらっしゃい。」と言った。
女教師は急にボタンを掛け違えたみたいな顔をして立ち去っていった。
最後に捨て台詞を吐いていたが
車道からのビッグスクーターの音にかき消され
ただ輪ゴムのように動く赤い口が印象に残った。
じいさんは私が校庭に行くたびに
私を真知ちゃんと呼び
桜の話や昔の映画俳優の話をする。
でも私は真知ち
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