はつかねずみ/ふるる
 

雲をおどらせ
月を太らせる

明日、ときみが言う
海から
裸足で帰ってきたね
くつはどうしたの
くつはいらないの

波がわたしのくつ
あなたがわたしの道



  雲でパン


もう少しで実が落ちるのだから
木の下で眠っていたらいい
鳥は少しもじっとしていない
リスたちも
ぼくらの手のひらの実を
遠慮なく取っていく

きみのおなかはあったかくて大きい
まるでパンケーキ
まるでおひさま

去年のことを全然思い出せない
ぼくは今年の春に生まれたからさ
きみの手の中のはつかねずみ
今ちょうど五匹
真綿の中で眠っているね
名前つけてもいい
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