はつかねずみ/ふるる
たたかく意地悪く
ぼくらを見る
見て ときみが言う
空に
地図ができあがっていて
春の国に今
ぼくらはいる
パスポートもなしで
海から虹が
夏の午後
明日、ときみが言う
明るい傘をさして
オレンジ色のTシャツからしなやかな
きみの腕 よく焼けたね
まるでオレンジのパイ
蜂蜜も入っている
よく通る声で歌うきみは
小さなロバにまたがって
海をあるく
底まで そして
珊瑚やイソギンチャクをなでては
笑うんだろう
さっき
ミルクをこぼしたぼくを
笑ったように
海から虹が生まれるから
きみの歌もそれにのってゆく
雲
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