日の丸の旗 ーSAVE JAPANー /服部 剛
震災から六日となる今日も計画停電となり
職員は暗がりで対策を語らい、明かりの消え
た街を家路に着くと、死者・行方不明者一万
五千人を伝えるラジオのニュースの流れる暗
闇の机の上に蝋燭の灯は、丸く光っていた。
その机の上で原稿用紙を広げた彼は、長い間
忘れていた思いの湧き立つのを感じるままに
一篇の詩を書いた。
「 日の丸の旗 」
もし、街の明かりが消えてしまったら
自らが周囲を照らす、明かりになろう。
もし、水道の水が消えてしまったら
自らが人々の間を流れる、水になろう。
もし、店の棚に何も無く、空腹
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