マリー/ホロウ・シカエルボク
はしばらく忘れられなかった
最後に彼女はひどくむせ込んで
それから照れたように笑った
初めて見るまともな笑い方だった
それから立ち上がり身体中の砂をはらい
俺を急かして帰ろうと言った
帰りのタクシーを捕まえる金はなかったので
明方の道路を二人でのんびりと歩いて帰った
ねえ、遠足みたいねと彼女は言った
明るい光のもとで見る彼女は
驚くほどに子供みたいだった
「法廷」に戻ったころには俺たちはくたくたで
当然店はクローズした後で
そこで俺たちはおやすみと言って別れた
俺はそれから風邪をひいて
十日ばかり寝込んだ
起き上ったころには
季節が少し変わ
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