ヒューム「ベルグソンの芸術論」(6)/藤原 実
まれたのは、ある種の情熱的非芸術を喜ぶ傾向で、普通には《キャンプ》と呼ばれる趣味である。毛皮の裏地をつけた茶碗、ペプシ・コーラの栓でこしらえた肖像画、どこへでももって行けるトイレットの水盤といったものは、一種の機知を含む品物を作り出そうという試みの現れである。この機知は、キャンプによって目を開かれた通人の鑑賞家が、セシル・B・デミルの映画や、漫画本や、アール・ヌーヴォーのランプ・シェードを見て楽しむときに味わう種類のものだ。こういう機知が成り立つための主な条件は、当の品物が、普通の基準からすれば、決して高級な芸術でもよい趣味のものでもないことである。対象が軽蔑されていればいるほど、あるいは表現され
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